不動産の分かりにくい用語を解説してみました【不動産売買編】
今回は「不動産の分かりにくい用語を解説してみました」不動産売買編です。
一般的に賃貸よりも売買の方が動く金額も大きいし難しい用語も多そうな印象がありませんか?
さっそくみていきましょう。
媒介
「ばいかい」と読みます。
不動産の売買や交換、賃貸借について売主と買主(貸主と借主)との間に立って取引成立に向けて活動する事を指します。仲介(ちゅうかい)と同様の意味になりますが不動産用語では使われ方が異なります。
簡単に説明すると
「仲介(ちゅうかい)」は不動産取引の仲立ちをするという意味で広く利用される用語です。
「媒介(ばいかい)」はどちらかというと不動産売却時の仲立ちで使われる用語です。
媒介契約
媒介契約とは物件売却をする際に依頼主と不動産会社との間で結ぶ契約です。
不動産の売却の依頼を受けた不動産会社は、依頼者との間での媒介契約の締結が法的(宅地建物取引業法第34条の2)に義務づけられています。媒介契約を結ばなければ不動産の売却活動は出来ないという事です。
媒介契約書には希望する仲介のサービス内容やその対価である手数料などが明確に記載されております。
それによって仲介業務によるトラブルを未然に防ぐことができます。
「契約書」となっている為、費用が発生するかも。と考えがちですが媒介契約の締結に費用は発生しませんのでご安心ください。
*媒介契約で定められた取り決めに違反するようなことがあると違約金を払わなければいけないケースがあります。そういった違約金の額の設定も媒介契約書には記載されます。
媒介契約書の種類
専属専任媒介契約
依頼者にとって一番売却活動に関する制限が多い契約ですね。
依頼した不動産会社が見つけてきた買主以外と取引が出来ず、必ずその不動産会社を間に入れての取引となります。
その分、不動産会社が負う義務も3つの契約形態の中で一番大きなものになります。
媒介契約を結んでから5営業日以内のレインズへの登録、最低週に1度の売却活動の報告が課せられます。
専任媒介契約
依頼者の制限、不動産会社に課せられる義務ともに中間の契約です。
依頼した不動産会社以外の不動産会社に売却活動の依頼は出来ませんが自分で発見した買主とは不動産会社を通さずに取引をすることが出来ます。
不動産会社が負う義務については7営業日以内のレインズへの登録、最低2週に1度の売却活動の報告が課されます。
一般媒介契約
依頼者は複数の不動産会社に売却活動依頼をしても良い事になっております。
対する不動産会社の方もレインズへ登録する義務もなければ依頼者への売却活動に関する報告義務もありません。
どれがお勧め?
お勧めは「(専属)専任媒介契約」です。
不動産会社からすれば売主様には「(専属)専任媒介契約」で契約して頂きたい。というのはお判りいただけると思います。
しかし不動産会社の立場からのみで「(専属)専任媒介契約」をお勧めするわけではございません。
私が個人的に物件売却をお願いする機会があるとしたら「専属専任媒介契約」で依頼をします。
実は「(専属)専任媒介契約」は不動産会社にとっても売主様にとっても一番メリットがある契約形態なのです。
ひと昔前、インターネットがあまり普及していないような環境であれば売物件を広告する方法として店頭掲示が主流となります。
そのような環境であれば「一般媒介契約」でいくつもの不動産会社に宣伝してもらう形式は有効に思えます。
しかし皆さんに意識してもらいたい事は現代において物件の購入を検討する人はインターネットで物件を探すという事です。
不動産会社も物件を広告する際はインターネットで広告するのがマストな時代です。
そのことからどの媒介契約の形でも多数の購入検討者の目に触れるということが言えます。
そうなると「一般媒介契約」という形は例外を除いてメリットどころかデメリットしか生まれない媒介契約となります。一体なぜでしょうか?
1つの売物件の広告をするのにも相応の労力がかかります。さらに物件情報をポータルサイトに掲載するには掲載料が必要になります。
労力をかけて物件資料をまとめ、掲載料を支払って物件掲載をしたところで「一般媒介契約」であれば依頼主および買主はその不動産会社を通すことなく契約が可能となりますから労力と掲載料が無駄になる可能性があるという事です。
そうなると当然「一般媒介契約」による売物件は不動産会社から十分に力を入れて売却活動してもらえない可能性があるという事です。
一方「(専属)専任媒介契約」はどうでしょうか。
まず不動産会社による指定流通機構(レインズ)への登録が必須とされており有料ポータルサイトでなくともインターネット上に物件情報が掲載されます。また1~2週間に1度以上の業務報告の義務を不動産会社は負うため売却活動も積極的に行う必要性に駆られます。
物件へのお問合せ状況の窓口が1つになるという事も依頼者にとっては「一般媒介契約」と違い大きなメリットの1つとなるでしょう。
指定流通機構(レインズ)
次は指定流通機構(レインズ)についてご説明いたします。
前項の媒介契約の部分でも出てきた言葉で、なじみがなければ一体何のことかと思われることでしょう。
「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。
「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の英語の頭文字を並べて名付けられ、組織の通称にもなっています。 レインズは設立以来、一貫して利用の拡大が続いており、日常生活で水道、電気、ガスが欠かせないように、不動産取引を行なううえでなくてはならないインフラ(基盤)となっています。
*引用「REINS TOWER」
上記の説明分のみではなかなか内容の把握が難しいかと思います。
簡単に説明するとレインズとは免許を持った不動産会社が利用できるサイトです。
(専属)専任媒介契約で依頼を受けた不動産会社はレインズに物件登録する義務を負いますので買主様から依頼を受けて売物件を探している不動産会社はレインズに登録されている売物件を閲覧して条件に合う物件を探すことが出来るのです。
不動産会社しか閲覧できないシステムになっておりますので購入物件を探しているお客様は不動産会社と、このシステムを上手く利用することによって希望条件に合った物件の情報を得る事が可能になります。
別ページコラム【プロの物件探し】を利用して得られる1つの大きなメリットにも記載しておりますが探している物件の条件をなるべく細かく不動産会社に伝えておくことが重要な事です。
そうする事で不動産会社は様々な情報源よりお客様の需要にマッチした物件をご提案する事が可能となるのです。
レインズはその情報源のうちのひとつの大きなツールになります。
ホームインスペクション
ホームインスペクションとはホーム(住宅)インスペクション(診断)という訳で住宅診断の事を指します。
欧米では住宅は中古物件を利用するという考え方が一般的です。
対称的に日本では住宅というと新築住宅が大きなシェアを占めます。先進国でこの現象が顕著な国は日本だけです。
しかし今後は日本も欧米のような中古住宅流通促進の流れになっていきます。
現在は徐々に中古住宅流通促進に関する政策・制度を普及させているという段階です。
その一つがホームインスペクション制度です。
それでは肝心のホームインスペクションの内容をご説明します。
ホームインスペクションとはホームインスペクター(住宅診断士)という住宅に精通した資格をもった人間が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの詳細を見極めてアドバイスを行なう専門業務を指します。
買主にとっては住宅の購入前に建物のコンディションを把握する事により安心して物件を購入することが出来ます。
買主にとって中古住宅購入前に不安に感じる項目として「住宅に欠陥がある事」よりも「住宅に欠陥があるかどうか分からない事」という項目の方が得票の多いアンケート結果があるそうです。
なるほどなぁと思いました。よっぽど大きな欠陥でなければ修理補修で対応出来る事が多いものです。欠陥を事前に知り、対策可能か?対策費用はいくらかかるか?といった事をおりこんだ上での購入検討が出来ます。
比べて欠陥の有無が分からないと万一、物件の購入後に対応不可能な欠陥が発見される場合もあり得ると思うとそちらの方が不安感につながるかもしれません。
売主にとっては建物のコンディションをプロによって把握された物件という事で買主へのアピールにつながります。今後力を入れていく政策とはいってもホームインスペクションが現在において盛んとは言い難くまだまだ浸透に時間がかかる状況といえるからこそ他の売物件と差別化するポイントとして有効ではないかと考えます。
わたしたち不動産会社にもホームインスペクションに関して義務が課されるようになりました。
具体的には
媒介契約時:ホームインスペクション業者の斡旋の有無
重要事項説明時:ホームインスペクション実施の有無と実施時はその調査概要
売買契約時:建物の構造上主要な部分や雨漏りの防止に関する部分の調査結果について売主と買主が互いに確認した事項に対する書面の記載
詳細は省きますがホームインスペクションに関連する不動産会社の義務の増加は今後のホームインスペクション政策の普及拡大を予感させますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した用語は不動産業に従事していないとなかなか聞き及ばない用語ばかりではないかと思います。
私も不動産業の経験が無ければ知らない用語ばかりでした。
難しそうな用語でも意味を知るとそこまで難しい内容ではないですよね。